毒物劇物取扱責任者試験 法令編

Hourei 法令編

毒物劇物に関する法令

昭和二十五年法律第三百三号
毒物及び劇物取締法
(目的)
第一条 この法律は、毒物及び劇物について、保健衛生上の見地から必要な取締を行うことを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で「毒物」とは、別表第一に掲げる物であつて、医薬品及び医薬部外品以外のものをいう。
2 この法律で「劇物」とは、別表第二に掲げる物であつて、医薬品及び医薬部外品以外のものをいう。
3 この法律で「特定毒物」とは、毒物であつて、別表第三に掲げるものをいう。
(禁止規定)
第三条 毒物又は劇物の製造業の登録を受けた者でなければ、毒物又は劇物を販売又は授与の目的で製造してはならない。
2 毒物又は劇物の輸入業の登録を受けた者でなければ、毒物又は劇物を販売又は授与の目的で輸入してはならない。
3 毒物又は劇物の販売業の登録を受けた者でなければ、毒物又は劇物を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、運搬し、若しくは陳列してはならない。但し、毒物又は劇物の製造業者又は輸入業者が、その製造し、又は輸入した毒物又は劇物を、他の毒物又は劇物の製造業者、輸入業者又は販売業者(以下「毒物劇物営業者」という。)に販売し、授与し、又はこれらの目的で貯蔵し、運搬し、若しくは陳列するときは、この限りでない。
第三条の二 毒物若しくは劇物の製造業者又は学術研究のため特定毒物を製造し、若しくは使用することができる者としてその主たる研究所の所在地の都道府県知事(その主たる研究所の所在地が、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)の区域にある場合においては、指定都市の長。第六条の二及び第十条第二項において同じ。)の許可を受けた者(以下「特定毒物研究者」という。)でなければ、特定毒物を製造してはならない。
2 毒物若しくは劇物の輸入業者又は特定毒物研究者でなければ、特定毒物を輸入してはならない。
3 特定毒物研究者又は特定毒物を使用することができる者として品目ごとに政令で指定する者(以下「特定毒物使用者」という。)でなければ、特定毒物を使用してはならない。ただし、毒物又は劇物の製造業者が毒物又は劇物の製造のために特定毒物を使用するときは、この限りでない。
4 特定毒物研究者は、特定毒物を学術研究以外の用途に供してはならない。
5 特定毒物使用者は、特定毒物を品目ごとに政令で定める用途以外の用途に供してはならない。
6 毒物劇物営業者、特定毒物研究者又は特定毒物使用者でなければ、特定毒物を譲り渡し、又は譲り受けてはならない。
7 前項に規定する者は、同項に規定する者以外の者に特定毒物を譲り渡し、又は同項に規定する者以外の者から特定毒物を譲り受けてはならない。
8 毒物劇物営業者又は特定毒物研究者は、特定毒物使用者に対し、その者が使用することができる特定毒物以外の特定毒物を譲り渡してはならない。
9 毒物劇物営業者又は特定毒物研究者は、保健衛生上の危害を防止するため政令で特定毒物について品質、着色又は表示の基準が定められたときは、当該特定毒物については、その基準に適合するものでなければ、これを特定毒物使用者に譲り渡してはならない。
10 毒物劇物営業者、特定毒物研究者又は特定毒物使用者でなければ、特定毒物を所持してはならない。
11 特定毒物使用者は、その使用することができる特定毒物以外の特定毒物を譲り受け、又は所持してはならない。
第三条の三 興奮、幻覚又は麻酔の作用を有する毒物又は劇物(これらを含有する物を含む。)であつて政令で定めるものは、みだりに摂取し、若しくは吸入し、又はこれらの目的で所持してはならない。
第三条の四 引火性、発火性又は爆発性のある毒物又は劇物であつて政令で定めるものは、業務その他正当な理由による場合を除いては、所持してはならない。
(営業の登録)
第四条 毒物又は劇物の製造業、輸入業又は販売業の登録は、製造所、営業所又は店舗ごとに、その製造所、営業所又は店舗の所在地の都道府県知事(販売業にあつてはその店舗の所在地が、地域保健法(昭和二十二年法律第百一号)第五条第一項の政令で定める市(以下「保健所を設置する市」という。)又は特別区の区域にある場合においては、市長又は区長。次項、第五条、第七条第三項、第十条第一項及び第十九条第一項から第三項までにおいて同じ。)が行う。
2 毒物又は劇物の製造業、輸入業又は販売業の登録を受けようとする者は、製造業者にあつては製造所、輸入業者にあつては営業所、販売業者にあつては店舗ごとに、その製造所、営業所又は店舗の所在地の都道府県知事に申請書を出さなければならない。
3 製造業又は輸入業の登録は、五年ごとに、販売業の登録は、六年ごとに、更新を受けなければ、その効力を失う。
(販売業の登録の種類)
第四条の二 毒物又は劇物の販売業の登録を分けて、次のとおりとする。
一 一般販売業の登録
二 農業用品目販売業の登録
三 特定品目販売業の登録
(販売品目の制限)
第四条の三 農業用品目販売業の登録を受けた者は、農業上必要な毒物又は劇物であつて厚生労働省令で定めるもの以外の毒物又は劇物を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、運搬し、若しくは陳列してはならない。
2 特定品目販売業の登録を受けた者は、厚生労働省令で定める毒物又は劇物以外の毒物又は劇物を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、運搬し、若しくは陳列してはならない。
(登録基準)
第五条 都道府県知事は、毒物又は劇物の製造業、輸入業又は販売業の登録を受けようとする者の設備が、厚生労働省令で定める基準に適合しないと認めるとき、又はその者が第十九条第二項若しくは第四項の規定により登録を取り消され、取消しの日から起算して二年を経過していないものであるときは、第四条第一項の登録をしてはならない。
(登録事項)
第六条 第四条第一項の登録は、次に掲げる事項について行うものとする。
一 申請者の氏名及び住所(法人にあつては、その名称及び主たる事務所の所在地)
二 製造業又は輸入業の登録にあつては、製造し、又は輸入しようとする毒物又は劇物の品目
三 製造所、営業所又は店舗の所在地
(特定毒物研究者の許可)
第六条の二 特定毒物研究者の許可を受けようとする者は、その主たる研究所の所在地の都道府県知事に申請書を出さなければならない。
2 都道府県知事は、毒物に関し相当の知識を持ち、かつ、学術研究上特定毒物を製造し、又は使用することを必要とする者でなければ、特定毒物研究者の許可を与えてはならない。
3 都道府県知事は、次に掲げる者には、特定毒物研究者の許可を与えないことができる。
一 心身の障害により特定毒物研究者の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
二 麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者
三 毒物若しくは劇物又は薬事に関する罪を犯し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して三年を経過していない者
四 第十九条第四項の規定により許可を取り消され、取消しの日から起算して二年を経過していない者
(毒物劇物取扱責任者)
第七条 毒物劇物営業者は、毒物又は劇物を直接に取り扱う製造所、営業所又は店舗ごとに、専任の毒物劇物取扱責任者を置き、毒物又は劇物による保健衛生上の危害の防止に当たらせなければならない。ただし、自ら毒物劇物取扱責任者として毒物又は劇物による保健衛生上の危害の防止に当たる製造所、営業所又は店舗については、この限りでない。
2 毒物劇物営業者が毒物若しくは劇物の製造業、輸入業若しくは販売業のうち二以上を併せて営む場合において、その製造所、営業所若しくは店舗が互いに隣接しているとき、又は同一店舗において毒物若しくは劇物の販売業を二以上併せて営む場合には、毒物劇物取扱責任者は、前項の規定にかかわらず、これらの施設を通じて一人で足りる。
3 毒物劇物営業者は、毒物劇物取扱責任者を置いたときは、三十日以内に、その製造所、営業所又は店舗の所在地の都道府県知事にその毒物劇物取扱責任者の氏名を届け出なければならない。毒物劇物取扱責任者を変更したときも、同様とする。
(毒物劇物取扱責任者の資格)
第八条 次の各号に掲げる者でなければ、前条の毒物劇物取扱責任者となることができない。
一 薬剤師
二 厚生労働省令で定める学校で、応用化学に関する学課を修了した者
三 都道府県知事が行う毒物劇物取扱者試験に合格した者
2 次に掲げる者は、前条の毒物劇物取扱責任者となることができない。
一 十八歳未満の者
二 心身の障害により毒物劇物取扱責任者の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
三 麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者
四 毒物若しくは劇物又は薬事に関する罪を犯し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して三年を経過していない者
3 第一項第三号の毒物劇物取扱者試験を分けて、一般毒物劇物取扱者試験、農業用品目毒物劇物取扱者試験及び特定品目毒物劇物取扱者試験とする。
4 農業用品目毒物劇物取扱者試験又は特定品目毒物劇物取扱者試験に合格した者は、それぞれ第四条の三第一項の厚生労働省令で定める毒物若しくは劇物のみを取り扱う輸入業の営業所若しくは農業用品目販売業の店舗又は同条第二項の厚生労働省令で定める毒物若しくは劇物のみを取り扱う輸入業の営業所若しくは特定品目販売業の店舗においてのみ、毒物劇物取扱責任者となることができる。
5 この法律に定めるもののほか、試験科目その他毒物劇物取扱者試験に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。
(登録の変更)
第九条 毒物又は劇物の製造業者又は輸入業者は、登録を受けた毒物又は劇物以外の毒物又は劇物を製造し、又は輸入しようとするときは、あらかじめ、第六条第二号に掲げる事項につき登録の変更を受けなければならない。
2 第四条第二項及び第五条の規定は、登録の変更について準用する。
(届出)
第十条 毒物劇物営業者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、三十日以内に、その製造所、営業所又は店舗の所在地の都道府県知事にその旨を届け出なければならない。
一 氏名又は住所(法人にあつては、その名称又は主たる事務所の所在地)を変更したとき。
二 毒物又は劇物を製造し、貯蔵し、又は運搬する設備の重要な部分を変更したとき。
三 その他厚生労働省令で定める事項を変更したとき。
四 当該製造所、営業所又は店舗における営業を廃止したとき。
2 特定毒物研究者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、三十日以内に、その主たる研究所の所在地の都道府県知事にその旨を届け出なければならない。
一 氏名又は住所を変更したとき。
二 その他厚生労働省令で定める事項を変更したとき。
三 当該研究を廃止したとき。
3 第一項第四号又は前項第三号の場合において、その届出があつたときは、当該登録又は許可は、その効力を失う。
(毒物又は劇物の取扱)
第十一条 毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、毒物又は劇物が盗難にあい、又は紛失することを防ぐのに必要な措置を講じなければならない
2 毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、毒物若しくは劇物又は毒物若しくは劇物を含有する物であつて政令で定めるものがその製造所、営業所若しくは店舗又は研究所の外に飛散し、漏れ、流れ出、若しくはしみ出、又はこれらの施設の地下にしみ込むことを防ぐのに必要な措置を講じなければならない。
3 毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、その製造所、営業所若しくは店舗又は研究所の外において毒物若しくは劇物又は前項の政令で定める物を運搬する場合には、これらの物が飛散し、漏れ、流れ出、又はしみ出ることを防ぐのに必要な措置を講じなければならない。
4 毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、毒物又は厚生労働省令で定める劇物については、その容器として、飲食物の容器として通常使用される物を使用してはならない
(毒物又は劇物の表示)
第十二条 毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、毒物又は劇物の容器及び被包に、「医薬用外」の文字及び毒物については赤地に白色をもつて「毒物」の文字、劇物については白地に赤色をもつて「劇物」の文字を表示しなければならない。
2 毒物劇物営業者は、その容器及び被包に、左に掲げる事項を表示しなければ、毒物又は劇物を販売し、又は授与してはならない。
一 毒物又は劇物の名称
二 毒物又は劇物の成分及びその含量
三 厚生労働省令で定める毒物又は劇物については、それぞれ厚生労働省令で定めるその解毒剤の名称
四 毒物又は劇物の取扱及び使用上特に必要と認めて、厚生労働省令で定める事項
3 毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、毒物又は劇物を貯蔵し、又は陳列する場所に、「医薬用外」の文字及び毒物については「毒物」、劇物については「劇物」の文字を表示しなければならない。
(特定の用途に供される毒物又は劇物の販売等)
第十三条 毒物劇物営業者は、政令で定める毒物又は劇物については、厚生労働省令で定める方法により着色したものでなければ、これを農業用として販売し、又は授与してはならない。
第十三条の二 毒物劇物営業者は、毒物又は劇物のうち主として一般消費者の生活の用に供されると認められるものであつて政令で定めるものについては、その成分の含量又は容器若しくは被包について政令で定める基準に適合するものでなければ、これを販売し、又は授与してはならない。
(毒物又は劇物の譲渡手続)
第十四条 毒物劇物営業者は、毒物又は劇物を他の毒物劇物営業者に販売し、又は授与したときは、その都度、次に掲げる事項を書面に記載しておかなければならない。
一 毒物又は劇物の名称及び数量
二 販売又は授与の年月日
三 譲受人の氏名、職業及び住所(法人にあつては、その名称及び主たる事務所の所在地)
2 毒物劇物営業者は、譲受人から前項各号に掲げる事項を記載し、厚生労働省令で定めるところにより作成した書面の提出を受けなければ、毒物又は劇物を毒物劇物営業者以外の者に販売し、又は授与してはならない。
3 前項の毒物劇物営業者は、同項の規定による書面の提出に代えて、政令で定めるところにより、当該譲受人の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項について電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて厚生労働省令で定めるものにより提供を受けることができる。この場合において、当該毒物劇物営業者は、当該書面の提出を受けたものとみなす。
4 毒物劇物営業者は、販売又は授与の日から五年間、第一項及び第二項の書面並びに前項前段に規定する方法が行われる場合に当該方法において作られる電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて電子計算機による情報処理の用に供されるものとして厚生労働省令で定めるものをいう。)を保存しなければならない。
(毒物又は劇物の交付の制限等)
第十五条 毒物劇物営業者は、毒物又は劇物を次に掲げる者に交付してはならない
一 十八歳未満の者
二 心身の障害により毒物又は劇物による保健衛生上の危害の防止の措置を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
三 麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者
2 毒物劇物営業者は、厚生労働省令の定めるところにより、その交付を受ける者の氏名及び住所を確認した後でなければ、第三条の四に規定する政令で定める物を交付してはならない。
3 毒物劇物営業者は、帳簿を備え、前項の確認をしたときは、厚生労働省令の定めるところにより、その確認に関する事項を記載しなければならない。
4 毒物劇物営業者は、前項の帳簿を、最終の記載をした日から五年間、保存しなければならない。
(廃棄)
第十五条の二 毒物若しくは劇物又は第十一条第二項に規定する政令で定める物は、廃棄の方法について政令で定める技術上の基準に従わなければ、廃棄してはならない。
(回収等の命令)
第十五条の三 都道府県知事(毒物又は劇物の販売業にあつてはその店舗の所在地が保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合においては市長又は区長とし、特定毒物研究者にあつてはその主たる研究所の所在地が指定都市の区域にある場合においては指定都市の長とする。第十八条第一項、第十九条第四項及び第五項、第二十条第二項並びに第二十三条の二において同じ。)は、毒物劇物営業者又は特定毒物研究者の行う毒物若しくは劇物又は第十一条第二項の政令で定める物の廃棄の方法が前条の政令で定める基準に適合せず、これを放置しては不特定又は多数の者について保健衛生上の危害が生ずるおそれがあると認められるときは、その者に対し、当該廃棄物の回収又は毒性の除去その他保健衛生上の危害を防止するために必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。
(運搬等についての技術上の基準等)
第十六条 保健衛生上の危害を防止するため必要があるときは、政令で、毒物又は劇物の運搬、貯蔵その他の取扱について、技術上の基準を定めることができる。
2 保健衛生上の危害を防止するため特に必要があるときは、政令で、次に掲げる事項を定めることができる。
一 特定毒物が附着している物又は特定毒物を含有する物の取扱に関する技術上の基準
二 特定毒物を含有する物の製造業者又は輸入業者が一定の品質又は着色の基準に適合するものでなければ、特定毒物を含有する物を販売し、又は授与してはならない旨
三 特定毒物を含有する物の製造業者、輸入業者又は販売業者が特定毒物を含有する物を販売し、又は授与する場合には、一定の表示をしなければならない旨
(事故の際の措置)
第十七条 毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、その取扱いに係る毒物若しくは劇物又は第十一条第二項の政令で定める物が飛散し、漏れ、流れ出し、染み出し、又は地下に染み込んだ場合において、不特定又は多数の者について保健衛生上の危害が生ずるおそれがあるときは、直ちに、その旨を保健所、警察署又は消防機関に届け出るとともに、保健衛生上の危害を防止するために必要な応急の措置を講じなければならない。
2 毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、その取扱いに係る毒物又は劇物が盗難にあい、又は紛失したときは、直ちに、その旨を警察署に届け出なければならない。
(立入検査等)
第十八条 都道府県知事は、保健衛生上必要があると認めるときは、毒物劇物営業者若しくは特定毒物研究者から必要な報告を徴し、又は薬事監視員のうちからあらかじめ指定する者に、これらの者の製造所、営業所、店舗、研究所その他業務上毒物若しくは劇物を取り扱う場所に立ち入り、帳簿その他の物件を検査させ、関係者に質問させ、若しくは試験のため必要な最小限度の分量に限り、毒物、劇物、第十一条第二項の政令で定める物若しくはその疑いのある物を収去させることができる。
2 前項の規定により指定された者は、毒物劇物監視員と称する。
3 毒物劇物監視員は、その身分を示す証票を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
4 第一項の規定は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(登録の取消等)
第十九条 都道府県知事は、毒物劇物営業者の有する設備が第五条の厚生労働省令で定める基準に適合しなくなつたと認めるときは、相当の期間を定めて、その設備を当該基準に適合させるために必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。
2 前項の命令を受けた者が、その指定された期間内に必要な措置をとらないときは、都道府県知事は、その者の登録を取り消さなければならない。
3 都道府県知事は、毒物若しくは劇物の製造業、輸入業若しくは販売業の毒物劇物取扱責任者にこの法律に違反する行為があつたとき、又はその者が毒物劇物取扱責任者として不適当であると認めるときは、その毒物劇物営業者に対して、毒物劇物取扱責任者の変更を命ずることができる。
4 都道府県知事は、毒物劇物営業者又は特定毒物研究者にこの法律又はこれに基づく処分に違反する行為があつたとき(特定毒物研究者については、第六条の二第三項第一号から第三号までに該当するに至つたときを含む。)は、その営業の登録若しくは特定毒物研究者の許可を取り消し、又は期間を定めて、業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
5 厚生労働大臣は、保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため緊急時において必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、前各項の規定による処分(指定都市の長に対しては、前項の規定による処分に限る。)を行うよう指示をすることができる。
(聴聞等の方法の特例)
第二十条 前条第二項から第四項までの規定による処分に係る行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十五条第一項又は第三十条の通知は、聴聞の期日又は弁明を記載した書面の提出期限(口頭による弁明の機会の付与を行う場合には、その日時)の一週間前までにしなければならない。
2 都道府県知事は、前条第二項の規定による登録の取消し、同条第三項の規定による毒物劇物取扱責任者の変更命令又は同条第四項の規定による許可の取消し(次項において「登録の取消処分等」という。)に係る行政手続法第十五条第一項の通知をしたときは、聴聞の期日及び場所を公示しなければならない。
3 登録の取消処分等に係る聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。
(登録が失効した場合等の措置)
第二十一条 毒物劇物営業者、特定毒物研究者又は特定毒物使用者は、その営業の登録若しくは特定毒物研究者の許可が効力を失い、又は特定毒物使用者でなくなつたときは、十五日以内に、毒物劇物営業者にあつてはその製造所、営業所又は店舗の所在地の都道府県知事(販売業にあつてはその店舗の所在地が、保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合においては、市長又は区長)に、特定毒物研究者にあつてはその主たる研究所の所在地の都道府県知事(その主たる研究所の所在地が指定都市の区域にある場合においては、指定都市の長)に、特定毒物使用者にあつては都道府県知事に、それぞれ現に所有する特定毒物の品名及び数量を届け出なければならない。
2 前項の規定により届出をしなければならない者については、これらの者がその届出をしなければならないこととなつた日から起算して五十日以内に同項の特定毒物を毒物劇物営業者、特定毒物研究者又は特定毒物使用者に譲り渡す場合に限り、その譲渡し及び譲受けについては、第三条の二第六項及び第七項の規定を適用せず、また、その者の前項の特定毒物の所持については、同期間に限り、同条第十項の規定を適用しない。
3 毒物劇物営業者又は特定毒物研究者であつた者が前項の期間内に第一項の特定毒物を譲り渡す場合においては、第三条の二第八項及び第九項の規定の適用については、その者は、毒物劇物営業者又は特定毒物研究者であるものとみなす。
4 前三項の規定は、毒物劇物営業者、特定毒物研究者若しくは特定毒物使用者が死亡し、又は法人たるこれらの者が合併によつて消滅した場合に、その相続人若しくは相続人に代わつて相続財産を管理する者又は合併後存続し、若しくは合併により設立された法人の代表者について準用する。
(業務上取扱者の届出等)
第二十二条 政令で定める事業を行う者であつてその業務上シアン化ナトリウム又は政令で定めるその他の毒物若しくは劇物を取り扱うものは、事業場ごとに、その業務上これらの毒物又は劇物を取り扱うこととなつた日から三十日以内に、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる事項を、その事業場の所在地の都道府県知事(その事業場の所在地が保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合においては、市長又は区長。第三項において同じ。)に届け出なければならない。
一 氏名又は住所(法人にあつては、その名称及び主たる事務所の所在地)
二 シアン化ナトリウム又は政令で定めるその他の毒物若しくは劇物のうち取り扱う毒物又は劇物の品目
三 事業場の所在地
四 その他厚生労働省令で定める事項
2 前項の政令が制定された場合においてその政令の施行により同項に規定する者に該当することとなつた者は、その政令の施行の日から三十日以内に、同項の規定の例により同項各号に掲げる事項を届け出なければならない。
3 前二項の規定により届出をした者は、当該事業場におけるその事業を廃止したとき、当該事業場において第一項の毒物若しくは劇物を業務上取り扱わないこととなつたとき、又は同項各号に掲げる事項を変更したときは、その旨を当該事業場の所在地の都道府県知事に届け出なければならない。
4 第七条、第八条、第十一条、第十二条第一項及び第三項、第十五条の三、第十七条、第十八条並びに第十九条第三項及び第五項の規定は、第一項に規定する者(第二項に規定する者を含む。以下この条において同じ。)について準用する。この場合において、第七条第三項中「その製造所、営業所又は店舗の所在地の都道府県知事」とあるのは「その事業場の所在地の都道府県知事(その事業場の所在地が保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合においては、市長又は区長。第十五条の三、第十八条第一項並びに第十九条第三項及び第五項において同じ。)」と、第十五条の三中「都道府県知事(毒物又は劇物の販売業にあつてはその店舗の所在地が保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合においては市長又は区長とし、特定毒物研究者にあつてはその主たる研究所の所在地が指定都市の区域にある場合においては指定都市の長とする。第十八条第一項、第十九条第四項及び第五項、第二十条第二項並びに第二十三条の二において同じ。)」とあるのは「都道府県知事」と読み替えるものとする。
5 第十一条、第十二条第一項及び第三項、第十七条並びに第十八条の規定は、毒物劇物営業者、特定毒物研究者及び第一項に規定する者以外の者であつて厚生労働省令で定める毒物又は劇物を業務上取り扱うものについて準用する。この場合において、同条第一項中「都道府県知事」とあるのは、「都道府県知事(第二十二条第五項に規定する者の業務上毒物又は劇物を取り扱う場所の所在地が保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合においては、市長又は区長)」と読み替えるものとする。
6 厚生労働大臣又は都道府県知事(第一項に規定する者の事業場又は前項に規定する者の業務上毒物若しくは劇物を取り扱う場所の所在地が保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合においては、市長又は区長。次項において同じ。)は、第一項に規定する者が第四項において準用する第七条若しくは第十一条の規定若しくは同項において準用する第十九条第三項の処分に違反していると認めるとき、又は前項に規定する者が同項において準用する第十一条の規定に違反していると認めるときは、その者に対し、相当の期間を定めて、必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。
7 第二十条の規定は、厚生労働大臣又は都道府県知事が第四項において準用する第十九条第三項の処分又は前項の処分をしようとする場合について準用する。
(薬事審議会への諮問)
第二十三条 厚生労働大臣は、第十六条第一項、別表第一第二十八号、別表第二第九十四号及び別表第三第十号の政令の制定又は改廃の立案をしようとするときは、あらかじめ、薬事審議会の意見を聴かなければならない。ただし、薬事審議会が軽微な事項と認めるものについては、この限りでない。
(緊急時における厚生労働大臣の事務執行)
第二十三条の二 第十八条第一項の規定により都道府県知事の権限に属するものとされている事務(製剤の製造(製剤の小分けを含む。)若しくは原体の小分けのみを行う製造業者又は製剤の輸入のみを行う輸入業者に係る同項に規定する権限に属するものを除く。以下この条において同じ。)は、保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため緊急の必要があると厚生労働大臣が認める場合にあつては、厚生労働大臣又は都道府県知事が行うものとする。この場合においては、この法律の規定中都道府県知事に関する規定(当該事務に係るものに限る。)は、厚生労働大臣に関する規定として厚生労働大臣に適用があるものとする。
2 前項の場合において、厚生労働大臣又は都道府県知事が当該事務を行うときは、相互に密接な連携の下に行うものとする。
(権限の委任)
第二十三条の三 この法律に規定する厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生局長に委任することができる。
2 前項の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。
(政令への委任)
第二十三条の四 この法律に規定するもののほか、毒物又は劇物の製造業、輸入業又は販売業の登録及び登録の更新に関し必要な事項並びに特定毒物研究者の許可及び届出並びに特定毒物研究者についての第十九条第四項の処分に関し必要な事項は、政令で定める。
(経過措置)
第二十三条の五 この法律の規定に基づき政令又は厚生労働省令を制定し、又は改廃する場合においては、それぞれ、政令又は厚生労働省令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置を定めることができる。
(罰則)
第二十四条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第三条、第三条の二、第四条の三又は第九条の規定に違反した者
二 第十二条(第二十二条第四項及び第五項で準用する場合を含む。)の表示をせず、又は虚偽の表示をした者
三 第十三条、第十三条の二又は第十五条第一項の規定に違反した者
四 第十四条第一項又は第二項の規定に違反した者
五 第十五条の二の規定に違反した者
六 第十九条第四項の規定による業務の停止命令に違反した者
第二十四条の二 次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 みだりに摂取し、若しくは吸入し、又はこれらの目的で所持することの情を知つて第三条の三に規定する政令で定める物を販売し、又は授与した者
二 業務その他正当な理由によることなく所持することの情を知つて第三条の四に規定する政令で定める物を販売し、又は授与した者
三 第二十二条第六項の規定による命令に違反した者
第二十四条の三 第三条の三の規定に違反した者は、一年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第二十四条の四 第三条の四の規定に違反した者は、六月以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第二十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第十条第一項第四号又は第二項第三号に規定する事項につき、その届出を怠り、又は虚偽の届出をした者
二 第十四条第四項の規定に違反した者
二の二 第十五条第二項から第四項までの規定に違反した者
三 第十七条(第二十二条第四項及び第五項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
四 第十八条第一項(第二十二条第四項及び第五項において準用する場合を含む。)の規定による都道府県知事、指定都市の長、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長の要求があつた場合に、報告をせず、又は虚偽の報告をした者
五 第十八条第一項(第二十二条第四項及び第五項において準用する場合を含む。)の規定による立入り、検査、質問又は収去を拒み、妨げ、又は忌避した者
六 第二十一条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
七 第二十二条第一項から第三項までの規定による届出を怠り、又は虚偽の届出をした者
第二十六条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第二十四条、第二十四条の二、第二十四条の四又は前条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対しても、各本条の罰金を科する。但し、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため、その業務について相当の注意及び監督が尽されたことの証明があつたときは、その法人又は人については、この限りでない。
第二十七条 第十六条の規定に基づく政令には、その政令に違反した者を二年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する旨の規定及び法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関してその政令の違反行為をしたときはその行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金を科する旨の規定を設けることができる。
附 則 抄
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(毒物劇物営業取締法の廃止)
2 毒物劇物営業取締法(昭和二十二年法律第二百六号。以下「旧法」という。)は、廃止する。
(経過規定)
4 毒物劇物営業取締法施行規則(昭和二十二年厚生省令第三十八号)第四条の事業管理人試験に合格した者は、第八条の毒物劇物取扱者試験に合格した者とみなす。
7 この法律の施行前、旧法の規定により、毒物劇物営業を営んでいる者についてした処分その他の行為で、この法律に相当規定のあるものは、この法律の当該規定によつてした処分その他の行為とみなす。
別表第一
一 エチルパラニトロフエニルチオノベンゼンホスホネイト(別名EPN)
二 黄燐りん
三 オクタクロルテトラヒドロメタノフタラン
四 オクタメチルピロホスホルアミド(別名シユラーダン)
五 クラーレ
六 四アルキル鉛
七 シアン化水素
八 シアン化ナトリウム
九 ジエチルパラニトロフエニルチオホスフエイト(別名パラチオン)
十 ジニトロクレゾール
十一 二・四―ジニトロ―六―(一―メチルプロピル)―フエノール
十二 ジメチルエチルメルカプトエチルチオホスフエイト(別名メチルジメトン)
十三 ジメチル―(ジエチルアミド―一―クロルクロトニル)―ホスフエイト
十四 ジメチルパラニトロフエニルチオホスフエイト(別名メチルパラチオン)
十五 水銀
十六 セレン
十七 チオセミカルバジド
十八 テトラエチルピロホスフエイト(別名TEPP)
十九 ニコチン
二十 ニツケルカルボニル
二十一 砒ひ素
二十二 弗ふつ化水素
二十三 ヘキサクロルエポキシオクタヒドロエンドエンドジメタノナフタリン(別名エンドリン)
二十四 ヘキサクロルヘキサヒドロメタノベンゾジオキサチエピンオキサイド
二十五 モノフルオール酢酸
二十六 モノフルオール酢酸アミド
二十七 硫化燐りん
二十八 前各号に掲げる物のほか、前各号に掲げる物を含有する製剤その他の毒性を有する物であつて政令で定めるもの
別表第二
一 アクリルニトリル
二 アクロレイン
三 アニリン
四 アンモニア
五 二―イソプロピル―四―メチルピリミジル―六―ジエチルチオホスフエイト(別名ダイアジノン)
六 エチル―N―(ジエチルジチオホスホリールアセチル)―N―メチルカルバメート
七 エチレンクロルヒドリン
八 塩化水素
九 塩化第一水銀
十 過酸化水素
十一 過酸化ナトリウム
十二 過酸化尿素
十三 カリウム
十四 カリウムナトリウム合金
十五 クレゾール
十六 クロルエチル
十七 クロルスルホン酸
十八 クロルピクリン
十九 クロルメチル
二十 クロロホルム
二十一 硅弗けいふつ化水素酸
二十二 シアン酸ナトリウム
二十三 ジエチル―四―クロルフエニルメルカプトメチルジチオホスフエイト
二十四 ジエチル―(二・四―ジクロルフエニル)―チオホスフエイト
二十五 ジエチル―二・五―ジクロルフエニルメルカプトメチルジチオホスフエイト
二十六 四塩化炭素
二十七 シクロヘキシミド
二十八 ジクロル酢酸
二十九 ジクロルブチン
三十 二・三―ジ―(ジエチルジチオホスホロ)―パラジオキサン
三十一 二・四―ジニトロ―六―シクロヘキシルフエノール
三十二 二・四―ジニトロ―六―(一―メチルプロピル)―フエニルアセテート
三十三 二・四―ジニトロ―六―メチルプロピルフエノールジメチルアクリレート
三十四 二・二′―ジピリジリウム―一・一′―エチレンジブロミド
三十五 一・二―ジブロムエタン(別名EDB)
三十六 ジブロムクロルプロパン(別名DBCP)
三十七 三・五―ジブロム―四―ヒドロキシ―四′―ニトロアゾベンゼン
三十八 ジメチルエチルスルフイニルイソプロピルチオホスフエイト
三十九 ジメチルエチルメルカプトエチルジチオホスフエイト(別名チオメトン)
四十 ジメチル―二・二―ジクロルビニルホスフエイト(別名DDVP)
四十一 ジメチルジチオホスホリルフエニル酢酸エチル
四十二 ジメチルジブロムジクロルエチルホスフエイト
四十三 ジメチルフタリルイミドメチルジチオホスフエイト
四十四 ジメチルメチルカルバミルエチルチオエチルオホスフエイト
四十五 ジメチル―(N―メチルカルバミルメチル)―ジチオホスフエイト(別名ジメトエート)
四十六 ジメチル―四―メチルメルカプト―三―メチルフエニルチオホスフエイト
四十七 ジメチル硫酸
四十八 重クロム酸
四十九 蓚しゆう酸
五十 臭素
五十一 硝酸
五十二 硝酸タリウム
五十三 水酸化カリウム
五十四 水酸化ナトリウム
五十五 スルホナール
五十六 テトラエチルメチレンビスジチオホスフエイト
五十七 トリエタノールアンモニウム―二・四―ジニトロ―六―(一―メチルプロピル)―フエノラート
五十八 トリクロル酢酸
五十九 トリクロルヒドロキシエチルジメチルホスホネイト
六十 トリチオシクロヘプタジエン―三・四・六・七―テトラニトリル
六十一 トルイジン
六十二 ナトリウム
六十三 ニトロベンゼン
六十四 二硫化炭素
六十五 発煙硫酸
六十六 パラトルイレンジアミン
六十七 パラフエニレンジアミン
六十八 ピクリン酸。ただし、爆発薬を除く。
六十九 ヒドロキシルアミン
七十 フエノール
七十一 ブラストサイジンS
七十二 ブロムエチル
七十三 ブロム水素
七十四 ブロムメチル
七十五 ヘキサクロルエポキシオクタヒドロエンドエキソジメタノナフタリン(別名デイルドリン)
七十六 一・二・三・四・五・六―ヘキサクロルシクロヘキサン(別名リンデン)
七十七 ヘキサクロルヘキサヒドロジメタノナフタリン(別名アルドリン)
七十八 ベタナフトール
七十九 一・四・五・六・七―ペンタクロル―三a・四・七・七a―テトラヒドロ―四・七―(八・八―ジクロルメタノ)―インデン(別名ヘプタクロール)
八十 ペンタクロルフエノール(別名PCP)
八十一 ホルムアルデヒド
八十二 無水クロム酸
八十三 メタノール
八十四 メチルスルホナール
八十五 N―メチル―一―ナフチルカルバメート
八十六 モノクロル酢酸
八十七 沃よう化水素
八十八 沃よう素
八十九 硫酸
九十 硫酸タリウム
九十一 燐りん化亜鉛
九十二 ロダン酢酸エチル
九十三 ロテノン
九十四 前各号に掲げる物のほか、前各号に掲げる物を含有する製剤その他の劇性を有する物であつて政令で定めるもの
別表第三
一 オクタメチルピロホスホルアミド
二 四アルキル鉛
三 ジエチルパラニトロフエニルチオホスフエイト
四 ジメチルエチルメルカプトエチルチオホスフエイト
五 ジメチル―(ジエチルアミド―一―クロルクロトニル)―ホスフエイト
六 ジメチルパラニトロフエニルチオホスフエイト
七 テトラエチルピロホスフエイト
八 モノフルオール酢酸
九 モノフルオール酢酸アミド
十 前各号に掲げる毒物のほか、前各号に掲げる物を含有する製剤その他の著しい毒性を有する毒物であつて政令で定めるもの

 

 

 

毒物劇物に関する施行令

昭和三十年政令第二百六十一号
毒物及び劇物取締法施行令
内閣は、毒物及び劇物取締法(昭和二十五年法律第三百三号)第三条の二第三項、第五項及び第九項、第十五条の二、第十六条第一項及び第二項並びに第二十七条の規定に基き、この政令を制定する。
目次
第一章 四アルキル鉛を含有する製剤(第一条―第十条)
第二章 モノフルオール酢酸の塩類を含有する製剤(第十一条―第十五条)
第三章 ジメチルエチルメルカプトエチルチオホスフエイトを含有する製剤(第十六条―第二十一条)
第四章 モノフルオール酢酸アミドを含有する製剤(第二十二条―第二十七条)
第五章 りん化アルミニウムとその分解促進剤とを含有する製剤(第二十八条―第三十二条)
第五章の二 興奮、幻覚又は麻酔の作用を有する物(第三十二条の二)
第五章の三 発火性又は爆発性のある劇物(第三十二条の三)
第六章 営業の登録及び特定毒物研究者の許可(第三十三条―第三十七条)
第七章 危害防止の措置を講ずべき毒物等含有物(第三十八条)
第八章 特定の用途に供される毒物又は劇物(第三十九条・第三十九条の二)
第八章の二 毒物又は劇物の譲渡手続(第三十九条の三)
第九章 毒物及び劇物の廃棄(第四十条)
第九章の二 毒物及び劇物の運搬(第四十条の二―第四十条の八)
第九章の三 毒物劇物営業者等による情報の提供(第四十条の九)
第十章 業務上取扱者の届出(第四十一条・第四十二条)
附則
第一章 四アルキル鉛を含有する製剤
(使用者及び用途)
第一条 毒物及び劇物取締法(以下「法」という。)第三条の二第三項及び第五項の規定により、四アルキル鉛を含有する製剤の使用者及び用途を次のように定める。
一 使用者 石油精製業者(原油から石油を精製することを業とする者をいう。)
二 用途 ガソリンへの混入
(着色及び表示)
第二条 法第三条の二第九項の規定により、四アルキル鉛を含有する製剤の着色及び表示の基準を次のように定める。
一 赤色、青色、黄色又は緑色に着色されていること。
二 その容器に、次に掲げる事項が表示されていること。
イ 四アルキル鉛を含有する製剤が入つている旨及びその内容量
ロ その容器内の四アルキル鉛を含有する製剤の全部を消費したときは、消費者は、その空容器を、そのまま密閉して直ちに返送するか、又はその他の方法により保健衛生上危害を生ずるおそれがないように処置しなければならない旨
第三条 削除
(貯蔵)
第四条 四アルキル鉛を含有する製剤を貯蔵する場合には、次の各号に定める基準によらなければならない。
一 容器を密閉すること。
二 十分に換気が行われる倉庫内に貯蔵すること。
(混入の割合)
第五条 四アルキル鉛を含有する製剤をガソリンに混入する場合には、ガソリン一リツトルにつき四アルキル鉛一・三立方センチメートルの割合をこえて混入してはならない。
(空容器の処置)
第六条 容器に収められた四アルキル鉛を含有する製剤の全部を消費したときは、消費者は、その空容器を、そのまま密閉して直ちに毒物劇物営業者に返送するか、又はその他の方法により保健衛生上危害を生ずるおそれがないように処置しなければならない。
(加鉛ガソリンの品質)
第七条 四アルキル鉛を含有する製剤が混入されているガソリン(以下「加鉛ガソリン」という。)の製造業者又は輸入業者は、ガソリンに含有される四アルキル鉛の割合がガソリン一リツトルにつき四アルキル鉛〇・三立方センチメートル(航空ピストン発動機用ガソリンその他の特定の用に使用される厚生労働省令で定める加鉛ガソリンにあつては、一・三立方センチメートル)以下のものでなければ、加鉛ガソリンを販売し、又は授与してはならない。
(四アルキル鉛の量の測定方法)
第七条の二 第五条及び前条の数値は、厚生労働省令で定める方法により定量した場合における数値とする。
(加鉛ガソリンの着色)
第八条 加鉛ガソリンの製造業者又は輸入業者は、オレンジ色(第七条の厚生労働省令で定める加鉛ガソリンにあつては、厚生労働省令で定める色)に着色されたものでなければ、加鉛ガソリンを販売し、又は授与してはならない。
(加鉛ガソリンの表示)
第九条 加鉛ガソリンの製造業者、輸入業者又は販売業者は、容器のまま加鉛ガソリンを販売し、又は授与する場合において、その容器に次に掲げる事項が表示されていないときは、その容器にこれらの事項を表示しなければならない。
一 そのガソリンが加鉛ガソリンである旨(そのガソリンが第七条の厚生労働省令で定める加鉛ガソリンである場合にあつては、その旨)
二 そのガソリンを内燃機関以外の用(そのガソリンが第七条の厚生労働省令で定める加鉛ガソリンである場合にあつては、当該特定の用以外の用)に使用することが著しく危険である旨
2 加鉛ガソリンの販売業者は、加鉛ガソリンの給油塔の上部その他店舗内の見やすい場所に、前項に掲げる事項を表示しなければならない。ただし、加鉛ガソリンをもつぱら容器のまま販売する者は、この限りでない。
(罰則)
第十条 第四条又は第五条の規定に違反した者は、二年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 第六条、第七条、第八条又は前条の規定に違反した者は、一年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
3 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関して前二項の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても前二項の罰金刑を科する。
第二章 モノフルオール酢酸の塩類を含有する製剤
(使用者及び用途)
第十一条 法第三条の二第三項及び第五項の規定により、モノフルオール酢酸の塩類を含有する製剤の使用者及び用途を次のように定める。
一 使用者 国、地方公共団体、農業協同組合、農業共済組合、農業共済組合連合会(農業保険法(昭和二十二年法律第百八十五号)第十条第一項に規定する全国連合会に限る。以下同じ。)、森林組合及び生産森林組合並びに三百ヘクタール以上の森林を経営する者、主として食糧を貯蔵するための倉庫を経営する者又は食糧を貯蔵するための倉庫を有し、かつ、食糧の製造若しくは加工を業とする者であつて、都道府県知事の指定を受けたもの
二 用途 野ねずみの駆除
(品質、着色及び表示)
第十二条 法第三条の二第九項の規定により、モノフルオール酢酸の塩類を含有する製剤の品質、着色及び表示の基準を次のように定める。
一 モノフルオール酢酸の塩類の含有割合が二パーセント以下であり、かつ、その製剤が固体状のものであるときは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)に規定する日本薬局方で定める基準に適合するトウガラシ末が〇・五パーセント以上の割合で混入され、その製剤が液体状のものであるときは、同法に規定する日本薬局方で定める基準に適合するトウガラシチンキを五分の一に濃縮したものが一パーセント以上の割合で混入されていること。
二 深紅色に着色されていること。
三 その容器及び被包に、次に掲げる事項が表示されていること。
イ モノフルオール酢酸の塩類を含有する製剤が入つている旨及びその内容量
ロ モノフルオール酢酸の塩類を含有する製剤は、野ねずみの駆除以外の用に使用してはならない旨
ハ その容器又は被包内のモノフルオール酢酸の塩類を含有する製剤の全部を消費したときは、消費者は、その容器又は被包を保健衛生上危害を生ずるおそれがないように処置しなければならない旨
(使用方法)
第十三条 モノフルオール酢酸の塩類を含有する製剤を使用して野ねずみの駆除を行う場合には、次の各号に定める基準によらなければならない。
一 次に掲げる者の実地の指導の下に行うこと。
イ 薬事又は毒物若しくは劇物に関する試験研究又は事務に従事する厚生労働省又は都道府県若しくは市町村の技術職員
ロ 法第八条に規定する毒物劇物取扱責任者の資格を有する者であつて、都道府県知事の指定を受けたもの
ハ 野ねずみの駆除に関する試験研究又は事務に従事する農林水産省の技術職員
ニ 農業改良助長法(昭和二十三年法律第百六十五号)第八条第一項に規定する普及指導員
ホ 森林病害虫等防除法(昭和二十五年法律第五十三号)第十一条に規定する森林害虫防除員
ヘ 植物防疫法(昭和二十五年法律第百五十一号)第三十三条第一項に規定する病害虫防除員
ト 森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第百八十七条第一項に規定する林業普及指導員
チ 農業協同組合、農業共済組合、農業共済組合連合会、森林組合又は生産森林組合の技術職員であつて、都道府県知事の指定を受けたもの
二 モノフルオール酢酸の塩類を含有する製剤を餌として用い、又はこれを使用した餌を用いて行う駆除については、次の基準によること。
イ 屋内で行わないこと。
ロ 一個の餌に含有されるモノフルオール酢酸の塩類の量は、三ミリグラム以下であること。
ハ 餌は、地表上に仕掛けないこと。ただし、厚生労働大臣が指定する地域において森林の野ねずみの駆除を行うため、降雪前に毒餌が入つている旨の表示がある容器に入れた餌を仕掛けるときは、この限りでない。
ニ 餌を仕掛ける日の前後各一週間にわたつて、餌を仕掛ける日時及び区域を公示すること。ただし、この号ハただし書に定める方法のみにより駆除を行うときは、餌を仕掛けた日の後一週間の公示をもつて足りる。
ホ 餌を仕掛け終わつたときは、余つた餌を保健衛生上危害を生ずるおそれがないように処置すること。
三 モノフルオール酢酸の塩類を含有する製剤を液体の状態で用いて行う駆除については、次の基準によること。
イ 食糧倉庫以外の場所で行わないこと。
ロ 液体に含有されるモノフルオール酢酸の塩類の割合は、〇・二パーセント以下であること。
ハ 一容器中の液体の量は、三百立方センチメートル以下であること。
ニ 液体を入れた容器は、倉庫の床面より高い場所に仕掛けないこと。
ホ 液体を入れた容器ごとに、モノフルオール酢酸の塩類を含有する液体が入つている旨を表示すること。
ヘ 液体を仕掛け終わつたときは、余つた液体を保健衛生上危害を生ずるおそれがないように処置すること。
(空容器等の処置)
第十四条 容器又は被包に収められたモノフルオール酢酸の塩類を含有する製剤の全部を消費したときは、消費者は、その製剤が収められていた容器又は被包を保健衛生上危害を生ずるおそれがないように処置しなければならない。
(罰則)
第十五条 第十三条の規定に違反した者は、二年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 前条の規定に違反した者は、一年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
3 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関して前二項の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても前二項の罰金刑を科する。
第三章 ジメチルエチルメルカプトエチルチオホスフエイトを含有する製剤
(使用者及び用途)
第十六条 法第三条の二第三項及び第五項の規定により、ジメチルエチルメルカプトエチルチオホスフエイトを含有する製剤の使用者及び用途を次のように定める。
一 使用者 国、地方公共団体、農業協同組合及び農業者の組織する団体であつて都道府県知事の指定を受けたもの
二 用途 かんきつ類、りんご、なし、ぶどう、桃、あんず、梅、ホツプ、なたね、桑、しちとうい又は食用に供されることがない観賞用植物若しくはその球根の害虫の防除
(着色及び表示)
第十七条 法第三条の二第九項の規定により、ジメチルエチルメルカプトエチルチオホスフエイトを含有する製剤の着色及び表示の基準を次のように定める。
一 紅色に着色されていること。
二 その容器及び被包に、次に掲げる事項が表示されていること。
イ ジメチルエチルメルカプトエチルチオホスフエイトを含有する製剤が入つている旨及びその内容量
ロ かんきつ類、りんご、なし、ぶどう、桃、あんず、梅、ホツプ、なたね、桑、しちとうい又は食用に供されることがない観賞用植物若しくはその球根の害虫の防除以外の用に使用してはならない旨
ハ その製剤が口に入り、又は皮膚から吸収された場合には、著しい危害を生ずるおそれがある旨
ニ その容器又は被包内の製剤の全部を消費したときは、消費者は、その容器又は被包を保健衛生上危害を生ずるおそれがないように処置しなければならない旨
(使用方法)
第十八条 ジメチルエチルメルカプトエチルチオホスフエイトを含有する製剤を使用してかんきつ類、りんご、梨、ぶどう、桃、あんず、梅、ホツプ、菜種、桑、七島い又は食用に供されることがない観賞用植物若しくはその球根の害虫の防除を行う場合には、次の各号に定める基準によらなければならない。
一 次に掲げる者の実地の指導の下に行うこと。
イ 薬事又は毒物若しくは劇物に関する試験研究又は事務に従事する厚生労働省又は都道府県若しくは市町村の技術職員
ロ 法第八条に規定する毒物劇物取扱責任者の資格を有する者であつて、都道府県知事の指定を受けたもの
ハ 植物防疫法第三条第一項に規定する植物防疫官、同条第二項に規定する植物防疫員その他農作物の病害虫の防除に関する試験研究又は事務に従事する農林水産省の技術職員
ニ 植物防疫法第三十三条第一項に規定する病害虫防除員であつて、都道府県知事の指定を受けたもの
ホ 農業改良助長法第八条第一項に規定する普及指導員であつて、都道府県知事の指定を受けたもの
ヘ 地方公共団体、農業協同組合、農業共済組合又は農業共済組合連合会の技術職員であつて、都道府県知事の指定を受けたもの
二 あらかじめ、防除実施の目的、日時及び区域、使用する薬剤の品名及び数量並びに指導員の氏名及び資格を防除実施区域の市町村長を経由して(特別区及び保健所を設置する市の区域にあつては、直接)保健所長に届け出ること。
三 防除実施の二日前から防除終了後七日までの間、防除実施の日時及び区域を公示すること。
四 菜種、桑又は七島いの害虫の防除は、散布以外の方法によらないこと。
五 かんきつ類、りんご、梨、ぶどう、桃、あんず、梅又は食用に供されることがない観賞用植物の害虫の防除は、散布及び塗布以外の方法によらないこと。
六 ホツプの害虫の防除は、塗布以外の方法によらないこと。
七 食用に供されることがない観賞用植物の球根の害虫の防除は、浸漬せき以外の方法によらないこと。
八 菜種の害虫の防除は、その抽苔たい期間以外の時期に行わないこと。
(器具等の処置)
第十九条 ジメチルエチルメルカプトエチルチオホスフエイトを含有する製剤を使用して害虫の防除を行なつたときは、防除に使用した器具及び被服であつて、当該製剤が附着し、又は附着したおそれがあるものは、使用のつど、保健衛生上危害を生ずるおそれがないように処置しなければならない。
(空容器等の処置)
第二十条 容器又は被包に収められたジメチルエチルメルカプトエチルチオホスフエイトを含有する製剤の全部を消費したときは、消費者は、その製剤が収められていた容器又は被包を保健衛生上危害を生ずるおそれがないように処置しなければならない。
(罰則)
第二十一条 第十八条の規定に違反した者は、二年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 前二条の規定に違反した者は、一年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
3 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関して前二項の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても前二項の罰金刑を科する。
第四章 モノフルオール酢酸アミドを含有する製剤
(使用者及び用途)
第二十二条 法第三条の二第三項及び第五項の規定により、モノフルオール酢酸アミドを含有する製剤の使用者及び用途を次のように定める。
一 使用者 国、地方公共団体、農業協同組合及び農業者の組織する団体であつて都道府県知事の指定を受けたもの
二 用途 かんきつ類、りんご、なし、桃又はかきの害虫の防除
(着色及び表示)
第二十三条 法第三条の二第九項の規定により、モノフルオール酢酸アミドを含有する製剤の着色及び表示の基準を次のように定める。
一 青色に着色されていること。
二 その容器及び被包に、次に掲げる事項が表示されていること。
イ モノフルオール酢酸アミドを含有する製剤が入つている旨及びその内容量
ロ かんきつ類、りんご、なし、桃又はかきの害虫の防除以外の用に使用してはならない旨
ハ その製剤が口に入り、又は皮膚から吸収された場合には、著しい危害を生ずるおそれがある旨
ニ その容器又は被包内の製剤の全部を消費したときは、消費者は、その容器又は被包を保健衛生上危害を生ずるおそれがないように処置しなければならない旨
(使用方法)
第二十四条 モノフルオール酢酸アミドを含有する製剤を使用してかんきつ類、りんご、なし、桃又はかきの害虫の防除を行う場合には、次の各号に定める基準によらなければならない。
一 次に掲げる者の実地の指導の下に行うこと。
イ 薬事又は毒物若しくは劇物に関する試験研究又は事務に従事する厚生労働省又は都道府県若しくは市町村の技術職員
ロ 法第八条に規定する毒物劇物取扱責任者の資格を有する者であつて、都道府県知事の指定を受けたもの
ハ 植物防疫法第三条第一項に規定する植物防疫官、同条第二項に規定する植物防疫員その他農作物の病害虫の防除に関する試験研究又は事務に従事する農林水産省の技術職員
ニ 植物防疫法第三十三条第一項に規定する病害虫防除員であつて、都道府県知事の指定を受けたもの
ホ 農業改良助長法第八条第一項に規定する普及指導員であつて、都道府県知事の指定を受けたもの
ヘ 農業協同組合の技術職員であつて、都道府県知事の指定を受けたもの
二 あらかじめ、防除実施の目的、日時及び区域、使用する薬剤の品名及び数量並びに指導員の氏名及び資格を防除実施区域の市町村長を経由して(特別区及び保健所を設置する市の区域にあつては、直接)保健所長に届け出ること。
三 防除実施の二日前から防除終了後七日までの間、防除実施の日時及び区域を公示すること。
四 散布以外の方法によらないこと。
(器具等の処置)
第二十五条 モノフルオール酢酸アミドを含有する製剤を使用してかんきつ類、りんご、なし、桃又はかきの害虫の防除を行つたときは、防除に使用した器具及び被服であつて、当該製剤が附着し、又は附着したおそれがあるものは、使用のつど、保健衛生上危害を生ずるおそれがないように処置しなければならない。
(空容器等の処置)
第二十六条 容器又は被包に収められたモノフルオール酢酸アミドを含有する製剤の全部を消費したときは、消費者は、その製剤が収められていた容器又は被包を保健衛生上危害を生ずるおそれがないように処置しなければならない。
(罰則)
第二十七条 第二十四条の規定に違反した者は、二年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 前二条の規定に違反した者は、一年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
3 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関して前二項の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても前二項の罰金刑を科する。
第五章 りん化アルミニウムとその分解促進剤とを含有する製剤
(使用者及び用途)
第二十八条 法第三条の二第三項及び第五項の規定により、りん化アルミニウムとその分解促進剤とを含有する製剤の使用者及び用途を次のように定める。
一 使用者
イ 国、地方公共団体、農業協同組合又は日本たばこ産業株式会社
ロ くん蒸により倉庫内若しくはコンテナ内のねずみ、昆虫等を駆除することを業とする者又は営業のために倉庫を有する者であつて、都道府県知事の指定を受けたもの
ハ 船長(船長の職務を行う者を含む。以下同じ。)又はくん蒸により船倉内のねずみ、昆虫等を駆除することを業とする者
二 用途 倉庫内、コンテナ(産業標準化法(昭和二十四年法律第百八十五号)に基づく日本産業規格Z一六一〇号(大形コンテナ)に適合するコンテナ又はこれと同等以上の内容積を有する密閉形コンテナに限る。以下同じ。)内又は船倉内におけるねずみ、昆虫等の駆除(前号ロに掲げる者にあつては倉庫内又はコンテナ内、同号ハに掲げる者にあつては船倉内におけるものに限る。)
(品質及び表示)
第二十九条 法第三条の二第九項の規定により、燐りん化アルミニウムとその分解促進剤とを含有する製剤の品質及び表示の基準を次のように定める。
一 温度が二十五度、相対湿度が七十パーセントの空気中において、その製剤中の燐りん化アルミニウムのすべてが分解するのに要する時間が十二時間以上二十四時間以内であること。
二 その製剤中の燐りん化アルミニウムが分解する場合に悪臭を発生するものであること。
三 その容器及び被包に、次に掲げる事項が表示されていること。
イ 燐りん化アルミニウムとその分解促進剤とを含有する製剤が入つている旨
ロ 倉庫内、コンテナ内又は船倉内におけるねずみ、昆こん虫等の駆除以外の用に使用してはならない旨
ハ 空気に触れた場合に燐りん化水素を発生し、著しい危害を生ずるおそれがある旨
(使用方法)
第三十条 燐りん化アルミニウムとその分解促進剤とを含有する製剤を使用して倉庫内、コンテナ内又は船倉内のねずみ、昆こん虫等を駆除するための燻くん蒸作業(燐りん化水素を当該倉庫、当該コンテナ又は当該船倉から逸散させる作業を含む。)を行なう場合には、次の各号に定める基準によらなければならない。
一 倉庫内におけるねずみ、昆こん虫等の駆除については、次の基準によること。
イ 燻くん蒸中は、当該倉庫のとびら、通風口等を閉鎖し、その他必要に応じ、当該倉庫について、燐りん化水素が当該倉庫の外部にもれることによる保健衛生上の危害の発生を防止するため必要な措置を講ずること。
ロ 燻くん蒸中及び燐りん化水素が当該倉庫から逸散し終わるまでの間、当該倉庫のとびら及びその附近の見やすい場所に、当該倉庫に近寄ることが著しく危険である旨を表示すること。
二 コンテナ内におけるねずみ、昆こん虫等の駆除については、次の基準によること。
イ 燻くん蒸作業は、都道府県知事が指定した場所で行なうこと。
ロ 燻くん蒸中は、当該コンテナのとびら、通風口等を閉鎖し、その他必要に応じ、当該コンテナについて、燐りん化水素が当該コンテナの外部にもれることによる保健衛生上の危害の発生を防止するため必要な措置を講ずること。
ハ 燻くん蒸中及び燐りん化水素が当該コンテナから逸散し終わるまでの間、当該コンテナのとびら及びその附近の見やすい場所に、当該コンテナに近寄ることが著しく危険である旨を表示すること。
ニ 燻くん蒸中及び燐りん化水素が当該コンテナから逸散し終わるまでの間、当該コンテナを移動させてはならないこと。
三 船倉内におけるねずみ、昆こん虫等の駆除については、次の基準によること。
イ 使用者が船長以外の者であるときは、あらかじめ、燻くん蒸作業を始める旨を船長に通知すること。
ロ 燻くん蒸中は、当該船倉のとびら、通風口等を密閉し、その他必要に応じ、当該船倉について、燐りん化水素が当該船倉の外部にもれることを防ぐため必要な措置を講ずること。
ハ 燻くん蒸中は、当該船倉のとびら及びその附近の見やすい場所に、当該船倉内に立ち入ることが著しく危険である旨を表示すること。
ニ 燐りん化水素を当該船倉から逸散させるときは、逸散し終わるまでの間、当該船倉のとびら、逸散口及びそれらの附近の見やすい場所に、当該船倉に立ち入り、又は当該逸散口に近寄ることが著しく危険である旨を表示すること。
(保管)
第三十一条 燐りん化アルミニウムとその分解促進剤とを含有する製剤の保管は、密閉した容器で行わなければならない。
(罰則)
第三十二条 前二条の規定に違反した者は、二年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関して前項の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても同項の罰金刑を科する。
第五章の二 興奮、幻覚又は麻酔の作用を有する物
(興奮、幻覚又は麻酔の作用を有する物)
第三十二条の二 法第三条の三に規定する政令で定める物は、トルエン並びに酢酸エチル、トルエン又はメタノールを含有するシンナー(塗料の粘度を減少させるために使用される有機溶剤をいう。)、接着剤、塗料及び閉そく用又はシーリング用の充てん料とする。
第五章の三 発火性又は爆発性のある劇物
(発火性又は爆発性のある劇物)
第三十二条の三 法第三条の四に規定する政令で定める物は、亜塩素酸ナトリウム及びこれを含有する製剤(亜塩素酸ナトリウム三十パーセント以上を含有するものに限る。)、塩素酸塩類及びこれを含有する製剤(塩素酸塩類三十五パーセント以上を含有するものに限る。)、ナトリウム並びにピクリン酸とする。
第六章 営業の登録及び特定毒物研究者の許可
(登録票の交付等)
第三十三条 都道府県知事(毒物又は劇物の販売業にあつては、その店舗の所在地が、地域保健法(昭和二十二年法律第百一号)第五条第一項の政令で定める市(以下「保健所を設置する市」という。)又は特別区の区域にある場合においては、市長又は区長)は、毒物又は劇物の製造業、輸入業又は販売業の登録を行つたときは、厚生労働省令の定めるところにより、登録を申請した者に登録票を交付しなければならない。毒物又は劇物の製造業、輸入業又は販売業の登録を更新したときも、同様とする。
(許可証の交付等)
第三十四条 都道府県知事(特定毒物研究者の主たる研究所の所在地が、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)の区域にある場合においては、指定都市の長)は、特定毒物研究者の許可を与えたときは、厚生労働省令の定めるところにより、許可を申請した者に許可証を交付しなければならない。
(登録票又は許可証の書換え交付)
第三十五条 毒物劇物営業者又は特定毒物研究者は、登録票又は許可証の記載事項に変更を生じたときは、登録票又は許可証の書換え交付を申請することができる。
2 前項の申請は、厚生労働省令で定めるところにより、申請書に登録票又は許可証を添え、毒物劇物営業者にあつてはその製造所、営業所又は店舗の所在地の都道府県知事(販売業にあつてはその店舗の所在地が、保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合においては、市長又は区長。次条第二項及び第三項並びに第三十六条の二第一項において同じ。)に、特定毒物研究者にあつてはその主たる研究所の所在地の都道府県知事(その主たる研究所の所在地が、指定都市の区域にある場合においては、指定都市の長。次条第二項及び第三項、第三十六条の二第一項並びに第三十六条の六において同じ。)に対して行わなければならない。
(登録票又は許可証の再交付)
第三十六条 毒物劇物営業者又は特定毒物研究者は、登録票又は許可証を破り、汚し、又は失つたときは、登録票又は許可証の再交付を申請することができる。
2 前項の申請は、厚生労働省令で定めるところにより、毒物劇物営業者にあつてはその製造所、営業所又は店舗の所在地の都道府県知事に、特定毒物研究者にあつてはその主たる研究所の所在地の都道府県知事に対して行わなければならない。この場合において、登録票若しくは許可証を破り、又は汚した毒物劇物営業者又は特定毒物研究者は、申請書にその登録票又は許可証を添えなければならない。
3 毒物劇物営業者又は特定毒物研究者は、登録票又は許可証の再交付を受けた後、失つた登録票又は許可証を発見したときは、毒物劇物営業者にあつてはその製造所、営業所又は店舗の所在地の都道府県知事に、特定毒物研究者にあつてはその主たる研究所の所在地の都道府県知事に、これを返納しなければならない。
(登録票又は許可証の返納)
第三十六条の二 毒物劇物営業者又は特定毒物研究者は、法第十九条第二項若しくは第四項の規定により登録若しくは特定毒物研究者の許可を取り消され、若しくは業務の停止の処分を受け、又は営業若しくは研究を廃止したときは、毒物劇物営業者にあつてはその製造所、営業所又は店舗の所在地の都道府県知事に、特定毒物研究者にあつてはその主たる研究所の所在地の都道府県知事に、その登録票又は許可証を速やかに返納しなければならない。
2 都道府県知事、指定都市の長、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長は、法第十九条第四項の規定により業務の停止の処分を受けた者については、業務停止の期間満了の後、登録票又は許可証を交付するものとする。
(登録簿又は特定毒物研究者名簿)
第三十六条の三 都道府県知事、指定都市の長、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長は、登録簿又は特定毒物研究者名簿を備え、厚生労働省令で定めるところにより、必要な事項を記載するものとする。
(特定毒物研究者の主たる研究所の所在地の変更)
第三十六条の四 特定毒物研究者は、都道府県又は指定都市の区域を異にしてその主たる研究所の所在地を変更したときは、その主たる研究所の所在地を変更した日において、その変更後の主たる研究所の所在地の都道府県知事(その変更後の主たる研究所の所在地が、指定都市の区域にある場合においては、指定都市の長。以下この条において「新管轄都道府県知事」という。)による法第三条の二第一項の許可を受けたものとみなす。
2 新管轄都道府県知事は、法第十条第二項の届出が都道府県又は指定都市の区域を異にしてその主たる研究所の所在地を変更した特定毒物研究者からあつたときは、当該特定毒物研究者の変更前の主たる研究所の所在地の都道府県知事(その変更前の主たる研究所の所在地が、指定都市の区域にある場合においては、指定都市の長。次項において「旧管轄都道府県知事」という。)にその旨を通知しなければならない。
3 前項の規定による通知を受けた旧管轄都道府県知事は、特定毒物研究者名簿のうち同項の特定毒物研究者に関する部分を新管轄都道府県知事に送付しなければならない。
(厚生労働省令で定める者に係る保健衛生上の危害の防止のための措置)
第三十六条の五 特定毒物研究者のうち厚生労働省令で定める者は、その者が主たる研究所において毒物又は劇物による保健衛生上の危害を確実に防止するために必要な設備の設置、補助者の配置その他の措置を講じなければならない。
2 毒物劇物営業者は、毒物劇物取扱責任者として厚生労働省令で定める者を置くときは、当該毒物劇物取扱責任者がその製造所、営業所又は店舗において毒物又は劇物による保健衛生上の危害を確実に防止するために必要な設備の設置、補助者の配置その他の措置を講じなければならない。
3 前項の規定は、毒物劇物取扱責任者を同項に規定する者に変更する場合について準用する。
(行政処分に関する通知)
第三十六条の六 都道府県知事又は指定都市の長は、主たる研究所の所在地が他の都道府県又は指定都市の区域にある特定毒物研究者について、適当な措置をとることが必要であると認めるときは、理由を付して、その主たる研究所の所在地の都道府県知事にその旨を通知しなければならない。
(権限の委任)
第三十六条の七 この政令に規定する厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生局長に委任することができる。
2 前項の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。
(省令への委任)
第三十七条 この章に定めるもののほか、毒物又は劇物の営業の登録及び登録の更新、特定毒物研究者の許可及び届出並びに特定毒物研究者についての法第十九条第四項の処分に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。
第七章 危害防止の措置を講ずべき毒物等含有物
(毒物又は劇物を含有する物)
第三十八条 法第十一条第二項に規定する政令で定める物は、次のとおりとする。
一 無機シアン化合物たる毒物を含有する液体状の物(シアン含有量が一リツトルにつき一ミリグラム以下のものを除く。)
二 塩化水素、硝酸若しくは硫酸又は水酸化カリウム若しくは水酸化ナトリウムを含有する液体状の物(水で十倍に希釈した場合の水素イオン濃度が水素指数二・〇から十二・〇までのものを除く。)
2 前項の数値は、厚生労働省令で定める方法により定量した場合における数値とする。
第八章 特定の用途に供される毒物又は劇物
(着色すべき農業用劇物)
第三十九条 法第十三条に規定する政令で定める劇物は、次のとおりとする。
一 硫酸タリウムを含有する製剤たる劇物
二 燐りん化亜鉛を含有する製剤たる劇物
(劇物たる家庭用品)
第三十九条の二 法第十三条の二に規定する政令で定める劇物は、別表第一の上欄に掲げる物とし、同条に規定する政令で定める基準は、同表の上欄に掲げる物に応じ、その成分の含量については同表の中欄に、容器又は被包については同表の下欄に掲げるとおりとする。
第八章の二 毒物又は劇物の譲渡手続
(毒物又は劇物の譲渡手続に係る情報通信の技術を利用する方法)
第三十九条の三 毒物劇物営業者は、法第十四条第三項の規定により同項に規定する事項の提供を受けようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、当該譲受人に対し、その用いる同項前段に規定する方法(以下この条において「電磁的方法」という。)の種類及び内容を示し、書面又は電磁的方法による承諾を得なければならない。
2 前項の規定による承諾を得た毒物劇物営業者は、当該譲受人から書面又は電磁的方法により電磁的方法による提供を行わない旨の申出があつたときは、当該譲受人から、法第十四条第三項に規定する事項の提供を電磁的方法によつて受けてはならない。ただし、当該譲受人が再び前項の規定による承諾をした場合は、この限りでない。
第九章 毒物及び劇物の廃棄
(廃棄の方法)
第四十条 法第十五条の二の規定により、毒物若しくは劇物又は法第十一条第二項に規定する政令で定める物の廃棄の方法に関する技術上の基準を次のように定める。
一 中和、加水分解、酸化、還元、稀釈その他の方法により、毒物及び劇物並びに法第十一条第二項に規定する政令で定める物のいずれにも該当しない物とすること。
二 ガス体又は揮発性の毒物又は劇物は、保健衛生上危害を生ずるおそれがない場所で、少量ずつ放出し、又は揮発させること。
三 可燃性の毒物又は劇物は、保健衛生上危害を生ずるおそれがない場所で、少量ずつ燃焼させること。
四 前各号により難い場合には、地下一メートル以上で、かつ、地下水を汚染するおそれがない地中に確実に埋め、海面上に引き上げられ、若しくは浮き上がるおそれがない方法で海水中に沈め、又は保健衛生上危害を生ずるおそれがないその他の方法で処理すること。
第九章の二 毒物及び劇物の運搬
(容器)
第四十条の二 四アルキル鉛を含有する製剤(自動車燃料用アンチノック剤を除く。)を運搬する場合には、その容器は、産業標準化法に基づく日本産業規格Z一六〇一号(鋼製ドラム缶)第一種に適合するドラム缶又はこれと同等以上の強度を有するドラム缶でなければならない。
2 四アルキル鉛を含有する製剤(自動車燃料用アンチノック剤に限る。)を運搬する場合には、その容器は、産業標準化法に基づく日本産業規格Z一六〇一号(鋼製ドラム缶)第一種に適合するドラム缶若しくはこれと同等以上の強度を有するドラム缶又は当該製剤の国際海事機関が採択した危険物の運送に関する規程に定める基準に適合している容器であつて厚生労働省令で定めるものでなければならない。
3 無機シアン化合物たる毒物(液体状のものに限る。)を内容積が千リットル以上の容器に収納して運搬する場合には、その容器は、次の各号に定める基準に適合するもの又は高圧ガス保安法(昭和二十六年法律第二百四号)第四十四条第一項の容器検査に合格したもの若しくは同項第一号若しくは第二号に掲げるものでなければならない。
一 容器の内容積は、一万リットル以下であること。
二 容器並びにそのマンホール及び注入口の蓋の材質は、産業標準化法に基づく日本産業規格G三一〇一号(一般構造用圧延鋼材)に適合する鋼材又はこれと同等以上の強度を有する鋼材であること。
三 容器並びにそのマンホール及び注入口の蓋に使用される鋼板の厚さは、四ミリメートル以上であること。
四 常用の温度において二百九十四キロパスカルの圧力(ゲージ圧力をいう。以下同じ。)で行う水圧試験において、漏れ、又は変形しないものであること。
五 内容積が二千リットル以上の容器にあつては、その内部に防波板が設けられていること。
六 弁及び配管は、鋼製であること。
七 容器の外部に突出しているマンホール、注入口その他の附属装置には、厚さ二・三ミリメートル以上の鋼板で作られた山形の防護枠が取り付けられていること。
4 ふっ化水素又はこれを含有する製剤(ふっ化水素七十パーセント以上を含有するものに限る。)を内容積が千リットル以上の容器に収納して運搬する場合には、その容器は、前項第一号、第二号及び第五号から第七号までに定めるもののほか、次の各号に定める基準に適合するものでなければならない。
一 容器並びにそのマンホール及び注入口の蓋に使用される鋼板の厚さは、六ミリメートル以上であること。
二 常用の温度において四百九十キロパスカルの圧力で行う水圧試験において、漏れ、又は変形しないものであること。
三 内容積が五千リットル以上の容器にあつては、当該容器内の温度を四十度以下に保つことができる断熱材が使用されていること。
四 内容積が二千リットル以上の容器にあつては、弁がその容器の上部に設けられていること。
5 ふっ化水素を含有する製剤(ふっ化水素七十パーセント以上を含有するものを除く。)を内容積が千リットル以上の容器に収納して運搬する場合には、その容器は、第三項第一号、第二号、第四号、第五号及び第七号並びに前項第四号に定めるもののほか、次の各号に定める基準に適合するものでなければならない。
一 容器並びにそのマンホール及び注入口の蓋に使用される鋼板の厚さは、四・五ミリメートル以上であること。
二 容器の内面がポリエチレンその他の腐食され難い物質で被覆されていること。
三 弁は、プラスチック製又はプラスチック皮膜を施した鋼製であり、配管は、プラスチック皮膜を施した鋼製であること。この場合において、使用されるプラスチックは、ポリプロピレンその他の腐食され難いものでなければならない。
6 無機シアン化合物たる毒物(液体状のものに限る。)又はふっ化水素若しくはこれを含有する製剤の国際海事機関が採択した危険物の運送に関する規程に定める基準に適合している容器であつて厚生労働省令で定めるものによる運搬については、厚生労働省令で、前三項に掲げる基準の特例を定めることができる。
7 無機シアン化合物たる毒物(液体状のものに限る。)又はふっ化水素若しくはこれを含有する製剤の船舶による運搬については、第三項から前項までの規定は、適用しない。
(容器又は被包の使用)
第四十条の三 四アルキル鉛を含有する製剤は、次の各号に適合する場合でなければ、運搬してはならない。ただし、次項に規定する場合は、この限りでない。
一 ドラム缶内に十パーセント以上の空間が残されていること。
二 ドラム缶の口金が締められていること。
三 ドラム缶ごとにその内容が四アルキル鉛を含有する製剤である旨の表示がなされていること。
2 四アルキル鉛を含有する製剤(自動車燃料用アンチノツク剤に限る。)を前条第二項に規定する厚生労働省令で定める容器により運搬する場合には、容器ごとにその内容が四アルキル鉛を含有する製剤であつて自動車燃料用アンチノツク剤である旨の表示がなされていることその他の厚生労働省令で定める要件を満たすものでなければ、運搬してはならない。
3 毒物(四アルキル鉛を含有する製剤を除く。以下この項において同じ。)又は劇物は、次の各号に適合する場合でなければ、車両(道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第二条第八号に規定する車両をいう。以下同じ。)を使用して、又は鉄道によつて運搬してはならない。
一 容器又は被包に収納されていること。
二 ふたをし、弁を閉じる等の方法により、容器又は被包が密閉されていること。
三 一回につき千キログラム以上運搬する場合には、容器又は被包の外部に、その収納した毒物又は劇物の名称及び成分の表示がなされていること。
(積載の態様)
第四十条の四 四アルキル鉛を含有する製剤を運搬する場合には、その積載の態様は、次の各号に定める基準に適合するものでなければならない。ただし、次項に規定する場合は、この限りでない。
一 ドラム缶の下に厚いむしろの類が敷かれていること。
二 ドラム缶は、その口金が上位になるように置かれていること。
三 ドラム缶が積み重ねられていないこと。
四 ドラム缶が落下し、転倒し、又は破損することのないように積載されていること。
五 積載装置を備える車両を使用して運搬する場合には、ドラム缶が当該積載装置の長さ又は幅を超えないように積載されていること。
六 四アルキル鉛を含有する製剤及び四アルキル鉛を含有する製剤の空容器以外の物と混載されていないこと。
2 四アルキル鉛を含有する製剤(自動車燃料用アンチノツク剤に限る。)を第四十条の二第二項に規定する厚生労働省令で定める容器により運搬する場合には、その積載の態様は、次の各号に定める基準に適合するものでなければならない。
一 容器は、その開口部が上位になるように置かれていること。
二 容器が積み重ねられていないこと。
三 容器が落下し、転倒し、又は破損することのないように積載されていること。
四 積載装置を備える車両を使用して運搬する場合には、容器が当該積載装置の長さ又は幅を超えないように積載されていること。
五 四アルキル鉛を含有する製剤及び四アルキル鉛を含有する製剤の空容器以外の物と混載されていないこと。
3 弗ふつ化水素又はこれを含有する製剤(弗ふつ化水素七十パーセント以上を含有するものに限る。)を車両を使用して、又は鉄道によつて運搬する場合には、その積載の態様は、次の各号に定める基準に適合するものでなければならない。
一 容器又は被包に対する日光の直射を防ぐための措置が講じられていること。ただし、容器内の温度を四十度以下に保つことができる断熱材が使用されている場合は、この限りでない。
二 容器又は被包が落下し、転倒し、又は破損することのないように積載されていること。
三 積載装置を備える車両を使用して運搬する場合には、容器又は被包が当該積載装置の長さ又は幅を超えないように積載されていること。
4 毒物(四アルキル鉛を含有する製剤並びに弗ふつ化水素及びこれを含有する製剤(弗ふつ化水素七十パーセント以上を含有するものに限る。)を除く。)又は劇物を車両を使用して、又は鉄道によつて運搬する場合には、その積載の態様は、前項第二号及び第三号に定める基準に適合するものでなければならない。
(運搬方法)
第四十条の五 四アルキル鉛を含有する製剤を鉄道によつて運搬する場合には、有がい貨車を用いなければならない。
2 別表第二に掲げる毒物又は劇物を車両を使用して一回につき五千キログラム以上運搬する場合には、その運搬方法は、次の各号に定める基準に適合するものでなければならない。
一 厚生労働省令で定める時間を超えて運搬する場合には、車両一台について運転者のほか交替して運転する者を同乗させること。
二 車両には、厚生労働省令で定めるところにより標識を掲げること。
三 車両には、防毒マスク、ゴム手袋その他事故の際に応急の措置を講ずるために必要な保護具で厚生労働省令で定めるものを二人分以上備えること。
四 車両には、運搬する毒物又は劇物の名称、成分及びその含量並びに事故の際に講じなければならない応急の措置の内容を記載した書面を備えること。
(荷送人の通知義務)
第四十条の六 毒物又は劇物を車両を使用して、又は鉄道によつて運搬する場合で、当該運搬を他に委託するときは、その荷送人は、運送人に対し、あらかじめ、当該毒物又は劇物の名称、成分及びその含量並びに数量並びに事故の際に講じなければならない応急の措置の内容を記載した書面を交付しなければならない。ただし、厚生労働省令で定める数量以下の毒物又は劇物を運搬する場合は、この限りでない。
2 前項の荷送人は、同項の規定による書面の交付に代えて、当該運送人の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて厚生労働省令で定めるもの(以下この条において「電磁的方法」という。)により提供することができる。この場合において、当該荷送人は、当該書面を交付したものとみなす。
3 第一項の荷送人は、前項の規定により同項に規定する事項を提供しようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、当該運送人に対し、その用いる電磁的方法の種類及び内容を示し、書面又は電磁的方法による承諾を得なければならない。
4 前項の規定による承諾を得た荷送人は、当該運送人から書面又は電磁的方法により電磁的方法による提供を受けない旨の申出があつたときは、当該運送人に対し、第二項に規定する事項の提供を電磁的方法によつてしてはならない。ただし、当該運送人が再び前項の規定による承諾をした場合は、この限りでない。
(船舶による運搬)
第四十条の七 船舶により四アルキル鉛を含有する製剤を運搬する場合には、第四十条の二から第四十条の四までの規定にかかわらず、船舶安全法(昭和八年法律第十一号)第二十八条第一項の規定に基づく国土交通省令の定めるところによらなければならない。
(罰則)
第四十条の八 第四十条の二第一項から第五項まで、第四十条の三から第四十条の五まで、第四十条の六第一項又は前条の規定に違反した者は、二年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関して前項の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても同項の罰金刑を科する。
第九章の三 毒物劇物営業者等による情報の提供
第四十条の九 毒物劇物営業者は、毒物又は劇物を販売し、又は授与するときは、その販売し、又は授与する時までに、譲受人に対し、当該毒物又は劇物の性状及び取扱いに関する情報を提供しなければならない。ただし、当該毒物劇物営業者により、当該譲受人に対し、既に当該毒物又は劇物の性状及び取扱いに関する情報の提供が行われている場合その他厚生労働省令で定める場合は、この限りでない。
2 毒物劇物営業者は、前項の規定により提供した毒物又は劇物の性状及び取扱いに関する情報の内容に変更を行う必要が生じたときは、速やかに、当該譲受人に対し、変更後の当該毒物又は劇物の性状及び取扱いに関する情報を提供するよう努めなければならない。
3 前二項の規定は、特定毒物研究者が製造した特定毒物を譲り渡す場合について準用する。
4 前三項に定めるもののほか、毒物劇物営業者又は特定毒物研究者による毒物又は劇物の譲受人に対する情報の提供に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。
第十章 業務上取扱者の届出
(業務上取扱者の届出)
第四十一条 法第二十二条第一項に規定する政令で定める事業は、次のとおりとする。
一 電気めつきを行う事業
二 金属熱処理を行う事業
三 最大積載量が五千キログラム以上の自動車若しくは被牽けん引自動車(以下「大型自動車」という。)に固定された容器を用い、又は内容積が厚生労働省令で定める量以上の容器を大型自動車に積載して行う毒物又は劇物の運送の事業
四 しろありの防除を行う事業
第四十二条 法第二十二条第一項に規定する政令で定める毒物又は劇物は、次の各号に掲げる事業にあつては、それぞれ当該各号に定める物とする。
一 前条第一号及び第二号に掲げる事業 無機シアン化合物たる毒物及びこれを含有する製剤
二 前条第三号に掲げる事業 別表第二に掲げる物
三 前条第四号に掲げる事業 砒ひ素化合物たる毒物及びこれを含有する製剤
附 則
(施行期日)
1 この政令は、毒物及び劇物取締法の一部を改正する法律(昭和三十年法律第百六十二号)の施行の日(昭和三十年十月一日)から施行する。
(関係政令の廃止)
2 次に掲げる政令は、廃止する。
一 四エチル鉛取扱基準令(昭和二十六年政令第百五十八号)
二 モノフルオール醋さく酸ナトリウム取扱基準令(昭和二十七年政令第二十八号)
三 ヂエチルパラニトロフエニールチオホスフエイト及びヂメチルパラニトロフエニールチオホスフエイト取扱基準令(昭和二十八年政令第九十五号)
四 毒物及び劇物を指定する政令(昭和二十七年政令第二十六号)
(経過規定)
3 この政令の施行前にヂエチルパラニトロフエニールチオホスフエイト及びヂメチルパラニトロフエニールチオホスフエイト取扱基準令第四条第一号ハの規定により都道府県知事がした指定は、第十八条第一号ヘの規定により都道府県知事がした指定とみなす。
別表第一(第三十九条の二関係)

塩化水素又は硫酸を含有する製剤たる劇物(住宅用の洗浄剤で液体状のものに限る。)
一 塩化水素若しくは硫酸の含量又は塩化水素と硫酸とを合わせた含量が十五パーセント以下であること。
二 当該製剤一ミリリツトルを中和するのに要する〇・一モル毎リツトル水酸化ナトリウム溶液の消費量が厚生労働省令で定める方法により定量した場合において四十五ミリリツトル以下であること。
品質及び構造が耐酸性試験、漏れ試験その他の厚生労働省令で定める試験に合格するものであること。

ジメチル―二・二―ジクロルビニルホスフエイト(別名DDVP)を含有する製剤(衣料用の防虫剤に限る。)
ジメチル―二・二―ジクロルビニルホスフエイトの空気中の濃度が厚生労働省令で定める方法により定量した場合において一立方メートル当たり〇・二五ミリグラム以下となるものであること。
一 当該製剤に直接触れることができない構造であること。
二 当該製剤が漏出しない構造であること。
別表第二(第四十二条関係)
一 黄燐りん
二 四アルキル鉛を含有する製剤
三 無機シアン化合物たる毒物及びこれを含有する製剤で液体状のもの
四 弗ふつ化水素及びこれを含有する製剤
五 アクリルニトリル
六 アクロレイン
七 アンモニア及びこれを含有する製剤(アンモニア十パーセント以下を含有するものを除く。)で液体状のもの
八 塩化水素及びこれを含有する製剤(塩化水素十パーセント以下を含有するものを除く。)で液体状のもの
九 塩素
十 過酸化水素及びこれを含有する製剤(過酸化水素六パーセント以下を含有するものを除く。)
十一 クロルスルホン酸
十二 クロルピクリン
十三 クロルメチル
十四 硅弗けいふつ化水素酸
十五 ジメチル硫酸
十六 臭素
十七 硝酸及びこれを含有する製剤(硝酸十パーセント以下を含有するものを除く。)で液体状のもの
十八 水酸化カリウム及びこれを含有する製剤(水酸化カリウム五パーセント以下を含有するものを除く。)で液体状のもの
十九 水酸化ナトリウム及びこれを含有する製剤(水酸化ナトリウム五パーセント以下を含有するものを除く。)で液体状のもの
二十 ニトロベンゼン
二十一 発煙硫酸
二十二 ホルムアルデヒド及びこれを含有する製剤(ホルムアルデヒド一パーセント以下を含有するものを除く。)で液体状のもの
二十三 硫酸及びこれを含有す

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