毒物劇物取扱責任者試験 毒劇物の性質と取り扱い方法編-鑑識・性状について-

556 毒劇物の性質編

鑑識・性状について

鑑識性状 黄燐 ニンニク臭を有し、水にはほとんど溶けず、水酸化カリウムと熱すればホスフィンを発生する。ベンゼン、二硫化炭素に可溶である。暗室内で酒石酸または硫酸酸性で水蒸気蒸留を行うと、冷却器あるいは流出管の内部に青白色の光が認められる。黄燐は、白色又は淡黄色のロウ状の固体であり、二硫化炭素に溶けやすい。最も適切な廃棄方法は、燃焼法である。空気中では非常に酸化されやすく、放置すると 50℃で発火する。暗室内で酒石酸又は硫酸酸性で水蒸気蒸留すると、冷却器あるいは流出管の内部に青白色の光が認められる。
鑑識性状 ニコチン  

 

 

エーテル溶液に、ヨードのエーテル溶液を加えると、褐色の液状沈殿を生じ、これを放置すると赤色針状結晶となる。ニコチンは、無色の油状液体であるが、空気中ではすみやかに褐変する。●ニコチンの硫酸酸性水溶液にピクリン酸溶液を加えると、黄色の結晶が沈殿する。加熱分解して、有毒な一酸化炭素を生成する。毒物及び劇物取締法により毒物に指定されている。ホルマリン1滴を加えた後、濃硝酸1滴を加えると、ばら色を呈する。廃棄方法 燃焼法

 

鑑識性状 クロルピクリン  

純品は無色の油状体。市販品は通常、微黄色を呈している。この物質の水溶液に金属カルシウムを加えこれにベタナフチルアミン及び硫酸を加えると、赤色の沈殿を生成する。水溶液に金属カルシウムを加え、これにベタナフチルアミン及び硫酸を加えると、赤色の沈殿を生成する。純品はの油状体。催涙性がある。血液中でメトヘモグロビンを生成、また、中枢神経や心臓、眼結膜を侵し、肺も強く障害する。用 途は土壌燻蒸剤 劇物 廃棄方法は沈殿法である。少量の界面活性剤を加えた亜硫酸ナトリウムと炭酸ナトリウムの混合溶液中で、撹拌し分解させた後、多量の水で希釈して処理する。化学式CCl3NO2。酸やアルカリで直ちに分解されない。

鑑識性状 クロロホルム  

 

レゾルシンと33パーセントの水酸化カリウム溶液と熱すると黄赤色を呈し、緑色の蛍石彩を放つ。火災等で強熱されるとホスゲンを生成するおそれがある。ベタナフトールと高濃度水酸化カリウム溶液を加えて熱すると藍色を呈し、空気に触れて緑より褐色に変化し、酸を加えると赤色の沈殿を生じる。

鑑識性状 ピクリン酸  

 

淡黄色の光沢ある小葉状あるいは針状結晶。純品は無臭であるが、通常品はかす かにニトロベンゼンの臭気を有し、苦味がある。この物質の水溶液にさらし粉溶液を加えて煮沸すると、刺激臭を発する。アルコール溶液は、白色の羊毛または絹糸を鮮黄色に染める。淡黄色の光沢のある小葉状あるいは針状結晶。徐々に熱すると昇華するが、急熱あるいは衝撃により爆発する。淡黄色の光沢ある結晶である。官能基として、ニトロ基を有する。染料として用いられる。熱湯、アルコール、エーテルに可溶。急激な加熱や衝撃により爆発する。

 

鑑識性状 ヒドラジン 無色の油状の液体。空気中で発煙する。ロケット燃料。
鑑識性状 クロルエチル 常温(25℃)で気体。可燃性。点火すれば緑色の辺縁を有する炎をあげて燃焼する。合成化学工業でのアルキル化剤.
鑑識性状 燐化水素  

燐化水素は、無色の気体で、腐魚臭を有する。自然発火性を有し、酸素及びハロゲンと激しく化合する。無色、腐魚臭の気体。自然発火性。酸素及びハロゲンと激しく化合する。

鑑識性状 三塩化チタン  

暗紫色の六方晶系の潮解性結晶。大気中で酸化して白煙を発生する。

鑑識性状 ベタナフトール  

無色又は白色の固体である。特異臭があり、水に溶けにくく、エタノールには容易に溶ける。水溶液にアンモニア水を加えると紫色の蛍石彩をはなつ。空気や光線に触れると赤変するため、遮光して保管する。染料製造原料、防腐剤.

鑑識性状 カリウム  

金属光沢をもつ銀白色の軟らかい固体である。白金線につけて溶融炎で熱し、炎の色を見ると青紫色となる。水と激しく反応して、水酸化カリウムと水素を生成する。この炎はコバルトの色ガラスを通してみると紅紫色となる。炎色反応を見るとその色は淡紫色である。

鑑識性状 硝酸亜鉛  

水に溶かして硫化水素を通じると白色の沈殿を生成する。また水に溶かして塩化バリウムを加えると白色の沈殿を生成する。

鑑識性状 硝酸  

 

 

 

 

刺激の強い匂いが特徴である銅屑を加えて熱すると藍色を呈して溶け、その際に赤褐色の蒸気を生成する。NO2を含有し、可燃物、有機物と接触するとNO2を生成するため、接触させない。羽毛のような有機質を硝酸の中に浸し、特にアンモニア水でこれを潤すと、黄色を呈する。水で薄めたものは、各種の金属を腐食して水素ガスを生成し、空気と混合して引火爆発することがある。人体に対し腐食性を有し、皮膚に接触するとタンパクとキサントプロテイン反応によって皮膚が黄色に変色する。銅屑を加えて熱すると、藍色を呈して溶け、その際赤褐色の蒸気を発生する。

鑑識性状 四塩化炭素  

 

 

 

四塩化炭素は、揮発性、麻酔性を有する無色、芳香性の液体で、水に溶けにくく、エーテル、クロロホルムに可溶である。蒸気は、可燃性で空気よりも重い。アルコール性の水酸化カリウムと銅粉とともに煮沸すると、黄赤色の沈殿を生成する。麻酔性の芳香を有する無色の重い液体で、揮発性及び不燃性を有する。溶液は揮発すると重い蒸気となり、火炎を包んで空気を遮断する。油脂類をよく溶解する。

鑑識性状 フェノ-ル  

 

 

無色の針状結晶あるいは白色の放射状結晶塊で、特異な臭気を有する。空気中で容易に赤変する。水溶液に過クロール鉄液を加えると、紫色を呈する。特有の臭気を持つ白色の結晶で、水に少し溶け、アルコールやエーテルにはよく溶ける性質がある。また、弱酸性を示し、皮膚に触れると薬傷を引き起こすため、毒物及び劇物取締法で劇物である。容易に燃焼し、黄色の炎をあげる。水溶液に4分の1量のアンモニア水と数滴のさらし粉溶液を加えて温めると藍色を呈する。 水溶液に過クロール鉄液(塩化鉄(Ⅲ)水溶液)を加えると、紫色 を呈する。

鑑識性状 三塩化アンチモン  

淡黄色の結晶で、水分により分解して、オキシ塩化物と白煙(塩化水素の気体)を生成する。潮解性の無色又は淡黄色の結晶で、水および希塩酸に溶けやすい。空気中で発煙する。

鑑識性状 水銀  

銀白色、金属光沢を有する重い液体。銀白色の液体の金属である。ナトリウムと合金をつくる。毒物に指定されている。

鑑識性状 セレン化鉄  

黒色塊状で、空気中高温で分解する。

鑑識性状 燐化水素  

無色の気体で、腐った魚の臭いを有する。

鑑識性状 メチルメルカプタン  

腐ったキャベツ様の悪臭を有する気体で、水に可溶で結晶性の水化物を生成する。

鑑識性状 水酸化ナトリウム 白色半透明の固体で、腐食性がある。 水に可溶で、水溶液はアルカリ性を呈する。 水と炭酸を吸収する性質が強く、空気中に放置すると、潮解して徐々に炭酸塩の皮層を生成する。正水溶液を白金線につけて無色の火炎中に入れると、火炎は著しく黄色に染まり、長時間続く。せっけん製造、パルプ工業、染料工業、レーヨン工業。
鑑識性状 臭素  

刺激性の臭気を放って揮発する赤褐色の重い液体。引火性、燃焼性はないが、強い腐食作用を有する。また、でんぷんのり液を橙黄色に染める。でんぷんのり液を橙黄色に染め、沃化カリウムでんぷん紙を藍変し、フルオレッセン溶液を赤変する。赤褐色の液体濃塩酸に触れると激しく発熱する。腐食性がある。化学合成繊維の難燃剤。

鑑識性状 硝酸鉛 少量を磁製のルツボに入れて熱すると、小爆鳴を発し、赤褐色の蒸気を出す。無色の結晶。水、アンモニア水、アルカリに可溶。ほんの少量を磁製のルツボに入れて熱すると、小爆鳴を発する。
鑑識性状 アンモニア水  

濃塩酸を潤したガラス棒を近づけると、白い霧を生じる。

鑑識性状 セレン 炭の上に小さな孔をつくり、無水炭酸ナトリウムの粉末とともに試料を吹管炎で熱灼すると、特有のニラ臭を出し、冷えると赤色の塊となる。これに濃硫酸を加えると緑色に溶ける。
鑑識性状 アクロレイン 無色又は帯黄色の液体であり、水に溶けやすい。アルカリ性で激しく反応し重合する。
鑑識性状 カルタップ 無色又は白色の固体である。水に溶けやすく、エーテル、ベンゼンにほとんど溶けない。廃棄方法 沈殿隔離法
鑑識性状 六弗化セレン 無色の気体である。水、有機溶媒にほとんど溶けず、空気中で発煙する。殺虫剤 毒物
鑑識性状 硫化カドミウム
黄橙色の固体である。水に極めて溶けにくい。
鑑識性状 塩素酸カリウム 無色の単斜晶系板状の結晶、又は白色顆粒か粉末で、水に溶けるがアルコールには溶けにくい。有機物と混合すると、摩擦により爆発することがある。熱すると酸素を発生する。水溶液に酒石酸を多量に加えると、白色結晶性沈殿を生じる。
鑑識性状 硫酸第二銅 無水物は白色の粉末である。水和物は風解性を有し、水に溶けやすく、水溶液は酸性を示す。水溶液に硝酸バリウムを加えると、白色の沈殿を生じる。
鑑識性状 弗化水素酸 無色又はわずかに着色した透明の液体で、特有の刺激臭がある。不燃性で、高濃度のものは空気中で白煙を生じる。ロウを塗ったガラス板に針で任意の模様を描き、本物質を塗ると、針で削り取られた模様の部分は腐食される。
鑑識性状 燐化亜鉛 無色又はわずかに着色した透明の液体で、特有の刺激臭がある。不燃性で、高濃度のものは空気中で白煙を生じる。希酸にガスを出して溶解する。
鑑識性状 臭化水素酸  

 

硝酸銀溶液を加えると、淡黄色の沈殿を生じ、この沈殿は硝酸に溶けず、アンモニア水には塩化銀に比べて溶けにくい。極めて反応性に富み、金、白金、タンタル以外のあらゆる金属を腐食する。各種の金属と反応してガスを発生し、空気と混合して引火爆発する恐れがある。

鑑識性状 メチルスルホナール 木炭とともに熱すると、メルカプタンの臭気を放つ。
鑑識性状  

無水硫酸銅

水を加えると青色を呈する。
鑑識性状 沃素 デンプンと反応すると藍色を呈し、これを熱すると退色し、冷えると再び藍色を現し、さらにチオ硫酸ナトリウムの溶液と反応すると脱色する。
鑑識性状 硫酸第一錫 炭の上に小さな孔をつくり、無水炭酸ナトリウムの粉末とともに試料を吹管炎で熱灼すると、白色の粒状となる。これに硝酸を加えても溶けない。
鑑識性状 ナトリウム 白金線に試料を付けて、溶融炎で熱し、炎の色を見ると黄色になる。これをコバルトの色ガラスを通して見ると、吸収されて、この炎は見えなくなる。
鑑識性状 二塩化鉛 白金線に試料を付けて溶融炎で熱し、次に希塩酸で白金線を湿して、再び溶融炎で炎の色を見ると淡青色となる。これをコバルトの色ガラスを通して見ると、淡紫色になる。
鑑識性状 トリクロル酢酸 水酸化ナトリウム溶液を加えて熱すると、クロロホルムの臭気を放つ。

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